2008年3月発行
【巻頭言】
『いのちの叫び』に応える教会」
委員長 内田章二
10:50 盲人は上着を脱ぎ捨て、躍り上がってイエスのところに来た。
10:51 イエスは、「何をしてほしいのか」と言われた。盲人は、「先生、目が見えるよう になりたいのです」と言った。
10:52 そこで、イエスは言われた。「行きなさい。あなたの信仰があなたを救った。」盲人は、すぐ見えるようになり、なお道を進まれるイエスに従った。
マルコによる福音書10章50~52節
「先生、目が見えるようになりたいのです」。バルティマイのイエスに対する曇りのない告白の前に、車椅子生活の私もイエスに向き合う姿勢が問われています。ひと昔前、よく「障害は個性だ」と言われました。「障害」のある者も、その傍らにいる者も神が造られた「ありのまま」の姿を受容し、よろこべたら、それは素晴らしいことです。
しかし注意すべきは、受容は「開き直り」や「あきらめ」とは全く次元の異なる作業だということです。そしてそれは同時に、「障害」のある人がその置かれた状況に甘んじて「お行儀よく生きる」ことでもありません。バルティマイの単刀直入な訴えが私たちにそのことを教えています。彼は声の限りにイエスの憐れみを乞い求めています。「障害」のゆえに物乞いをしなければ生きていけない現在の状況を、イエスならきっと変えて下さると信じて、彼は叫び続けたに違いありません。イエスは、その「叫び」に耳を傾けられたのです。
「何をしてほしいのか」と問われるイエスと「見えるようになりたいのです」と応えるバルティマイの間には、病や「障害」を負う者とその傍らにいて支える者のあるべき自然な姿が映し出されています。肉体的にであれ、社会的にであれ、弱さを覚える人が「癒し」を体感し、共同体を支える一員としての歩みへと招かれていく交わりこそが、神の国を目指す群れとしての教会の姿です。
神さまから与えられたいのちを精一杯輝かせて「豊かに生きる」という課題に向かって、すべての人は召されています。私たちが生きる現実の社会では「障害者自立支援法」が真の自立を目指す人々と彼らを支える人々との間に隔ての壁として、いまなお立ちはだかっています。けれども、私たちはいつも「何をしてほしいのか」というイエスの問いかけに対して「いのちの叫び」をもって向き合う人々と共に歩み続けたいのです。
「まなざしネットから今日は」
■介護の仕方 せっちゃんより。
私は最近、近所の主婦からそのご両親(80歳と81歳)を病院へ連れて行くのを助けて欲しいと頼まれ、キリストの福音を伝えるいい機会でもあるので引き受ける事にしました。おばあさんの方は腎臓や股関節が悪く車椅子を使用しています。私は車椅子に関する知識が全く無く、体験した事もありません。そのおばあさんを他の部屋からベッドのところまで車椅子で移動させ、いざベッドに移そうとしたら車椅子がぐらぐら動いて上手く座ることが出来ずにとても痛がっていたました。(トホホ・・ごめんなさい)。
そのおばあさんもおじいさんもイエス様の話を熱心に聞いてくださり2人でイエス様を受け入れられ、ついに教会にも連れて行って欲しいと言われたのです。私は大変嬉しく神様に栄光を帰しました。
が、その事をお嫁さんに話したらそれを聞いていた近所のおばさんたちから「あなた、キリストを伝える前に車椅子の使い方ぐらい勉強しなさい!」と言われてしまい、お嫁さんにも「せめて介護を上手くできないと教会には安心して送り出せません」と言われてしまったのです。とても悔しい思いをしましたが、やはり事故が起きたら大変だし事実であると認めます。
まなざしネットの兄弟姉妹で実際に車椅子を使用している方が、教会に行ったときなどどのように介助してもらいたいかとか実際に車椅子の押し方、サポートのやりかたの研修などを開いていただけたら良いのではないかと思いました。
■まず、本人の意思の尊重
岐阜の山ちゃんです。わたしももう7年ほど車椅子生活者ですので、わたしなりの思いをお話します。
先ず、車椅子に乗っている本人の意思をもっとも尊重することです。先取りした行為は、本人を悲しませたり、辛い思いをさせたりと。とかく、「・・してもらっているから・・」という気持ちからなかなか本人は言い出せないことが多々あります。
介助するとき、介助者は、中腰姿勢でやらないようにしてください。腰を痛める原因になります。また、中腰は、介助者の姿勢も動作も不安定ですから、二人とも倒れてしまう危険性もあります。一度本人に不安を与えると、次からは、介助を控えるようになります。
■一人では移乗を行わないこと
浦操@車イス生活16年です。
車椅子で一番難しいのは、ベッドから車椅子の移乗です。経験がない人がそれをするのは危険です。経験者に教えてもらい訓練をしてからやらないと、万が一落としたら、骨折などの大怪我をすることもありますので、補償問題になることもあります。
お年寄りの場合は移乗介助は二人以上でやる事です。万が一、移乗中、落としそうになったらあきらめて、元に戻すか、。車椅子が目の前の時は、思いっきり抱きしめて、ゆっくりと車椅子の方に倒れ込む感じで、床に座らせる。間違っても自分の方に倒れ込まれると怪我する事が多い。無理に車椅子に乗せようとすると、介護者の腰を痛めるのでやめたほうがいい。各地の社会福祉協議会等で講習があれば一度勉強してからの方がいいと思います。結構、勉強する事、多いです。
■ありがとうございます。
早速車椅子の事教えてくださりありがとうございます。やはり知識もないのに車椅子を介助するのは大変危険を伴うのだと、そして結構体力も必要なのかなぁという気がしています。めげずになお車椅子の研究をしてみようと思っています。
まずは地域の社会福祉協議会とやらに行って聞いてきます。そして教会の人たちとも一緒に学んでも恵みの時になるし、実際に今回の近所の老人夫婦や障害者の方が教会に来てくださったときあわてず迎えられるのではないかと思います。
また色々教えてくださいね。 せっちゃんより。